保護者と先生の集会所

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アラサー高校物理の執筆をする「しがない個別指導塾講師」が子どものため、親のため、先生のために少しでも役立つ情報を発信するためのブログです。

おすすめの物理の参考書比較【名問?重問?標問?】

ども、所長です!


ここ最近、新しい試みとして、物理の参考書と、物理の勉強法の本(アラサー高校物理シリーズ)を書いています。


アラサー高校物理と銘打っていますが、高校生、浪人生の物理の勉強にも役立つものを作っていますので、興味のある方はぜひ↓


otonaphys.com

勉強法の本を最近出しました。(7/4追記)


そして今回は、その電子書籍を作るにあたって、参考書の比較記事のリンクを入れておきたいなと思ってこうして記事を書いている次第でございます。


「高校物理 参考書」とググっていただければ、ものすごく大量の記事が出てくるので、そちらを調べていただいても良いのですが、


参考書を書いている人のレビュー記事はそれなりに需要もあるかなと思ってまとめることにしました。


勉強法の本の中では、「講義系」「問題集」「資料集・読み物」と分類していますので、そちらの分類で紹介する形にします。


特に重要問題集と名問の森は塾講師としてもどちらか一つを選ばなければならないという選択を迫られることが非常に多いので、その部分が少し厚めの記事になっています。


例によって、わたくし自身が実際に問題を解いたり本文を読んだりして使ったもの、そして塾講師として生徒に使わせた経験のあるものしか紹介しませんので、


他サイトよりは紹介数が少ないかもしれませんが、その点ご了承ください。

講義系

講義系というのは、物理の基本を理解するのがメインであることが多く、初学者向けのものがほとんどです。


高校物理の範囲では、問題集の方がどちらかというと重要であるとわたくしは考えていますので、それほど知っているわけではないですが、以下のようなものがあります。

宇宙一わかりやすい高校物理

こちらは2分冊になっていまして、左に説明、右に図といった形で書かれた講義系の参考書です。


非常に易しいので本当に何も分からない方にはおすすめですね。


個人的には教えるときにこんな説明もあるか、と参考にするくらいでしか使っていないのですが、


そういった使い方をする上では非常に役立つものです。

大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本

こちらは3分冊です。


生徒の立場になって読み進める感じです。図がかなり多くて受験生が躓きやすいポイントはかなりおさえている本です。


私は個人的にもっと「無味無臭」なキャラとか先生とか出てこない本が好きだったので、このシリーズも上で紹介したシリーズも使いませんでしたが、


このシリーズに関しては塾で生徒に自習用読み物として使わせたことがあります。


生徒には割に評判は良かったですが、一応中身を確認してから購入なさることをおすすめします。


リンク先から中身が確認できます。


問題集

受験生にとってはここが一番重要な章です。受験の物理は何よりも問題を解き慣れていることが一番です。


難易度の低いものから紹介していきましょう。

セミナー、リードα、エクセルなど

教科書に対応した問題集群は一気に紹介しておきましょう。


ほとんどの場合、高校の方でどれを使うかが決められていて、それを使うことになると思います。


もし、高校でそのような問題集が配られないようでしたら、エクセルというものだけは個人でも別冊解答付きのものを購入することができます



これらの問題集は基本的に400問から600問ほど問題があり、


難易度は公式を暗記さえしていれば解けるものから、それほど難しくはない入試問題まで幅広く収録されています。


セミナーでもリードαでもエクセルでも、(あとアクセスというのがあったような気が)どれでも難易度は大して変わりません


わたくしが塾で指導するときには、どの受験生も必ずこの問題集群のうち1冊は通ることになります。


特に基本的な問題の部分は一通り勉強していないと問題演習不足となることが多いです。


理系の物理選択で浪人する子は大抵、こういったタイプの問題集を疎かにしています


単純に問題数が多くて嫌気がさしますからね。


わたくしもそうでしたが。。。


塾講師となってみるとわかりますが、これらの問題集は必要だからこれだけの問題を備えているんです。


物理を勉強している高校生なら必要条件と十分条件はわかりますよね?


セミナーもエクセルも必要だから問題数が多いと思っておいてください。


問題数は多いですけど、難易度はちゃんと分かれているので、取り組みやすいとは思います。


まずは基本問題をやって、次に基本問題のバツだった所と発展問題を並行で進めて、その次に発展問題のバツだった所と総合問題を並行して進めて、


のような形で1周目、2周目、3周目とレベルを変えつつ挑戦していくこともできますし、わたくしはそのように使わせています。

物理(物理基礎・物理)基礎問題精講

教科書対応のものをやる暇はないけど、基礎的な部分を一通り勉強しておきたいというときには基礎問題精講を用いることが多いです。


通称「基礎問」ですね。


これは説明が丁寧ですし、いい問題集なんですけど、わたくし個人の経験でいうと時間ない人用です。


単純に問題数が少ないんですよね。


問題は全部で105問+演習問題44問です。


上で紹介した教科書対応の問題集群は問題数が多くて腰が引けるという受験生も、この基礎問は割と使っているのではないかと思います。


勉強に慣れていない方には基本的な問題を一通り扱う分には丁度いい問題集かもしれません。


塾講師的には、気合いがある人はもっと分厚いものを使ってくださいという感覚です。


以前、数学の問題集の比較記事を書きましたが、その時にも分厚い問題集が正義チックなことを書きました。


shukaijo.hatenablog.com



大変なんですけど、勉強量は大事だと私は思っていますので、時間のある方にはこちらの問題集はあまりおすすめはできません。


もっと分厚いのをやってください。(もちろんこの問題集は悪い問題集ではないですよ!)


あとものすごく簡単な問題集扱いしている参考書紹介サイトもいくつか見ましたけど、


それほど、簡単ではないですよ。


姉妹本の標準問題精講へのアクセスは正直悪いと思います。難易度の差がありすぎです。

良問の風物理頻出・標準入試問題集 (河合塾シリーズ)

こちらもだいぶ受験用参考書としての地位が確立されてきたなと思う参考書の一つです。


河合出版からは有名どころとして「エッセンス」「良問」「名問」というものが出ていて、難易度はその順にだんだんと難しくなります。


エッセンスは個人的には読み物扱いしているので、次の章で紹介しますね。


良問の風は、難しすぎず、簡単すぎずな問題集でして、上で紹介した教科書対応の問題集群と難易度的には正直かなり被っています。


MARCHレベルまでの大学を目指す子にはちょうどいいレベル感です。


セミナーと良問をバツ直しも含めて一通りこなしておけば、あとは過去問演習かなという感じで使わせています。


量も多すぎない感じがちょうどいいんですよね。148問と論述問題が数10問です。


解説も分かりやすいです。


ただ、MARCHレベルより上を目指す受験生にとっては少し易しいですし、先ほどの教科書対応の問題集とレベル的に被る部分も多いので、使わないことが多いですね。

名問の森物理 (河合塾シリーズ)

続けて名問の森です。通称「名問」です。


多くの受験生にとっては重問を使うか、名問を使うかは悩みどころだと思うので詳しく書いておきますね。


これはかなり有名な問題集でして、レベルもそれなりに高いです。


ちゃんと全部できるようになっておけば、東大の入試でも変な点数を取ることはないです。(変な点数は取らないでしょうが、これだけでいい点数が取れるとは言い切れません。


名問が難しいなと思うのは、問題の難易度の割には「問題文が短くて、問題段階での図が少ない」のが理由ですね。


1周目がしんどい参考書とも言えるかもしれません。


問題文が短かったり、図が少なかったりすると設定がイマイチ掴めないんですよね。


設定が掴めないと物理の問題は手も足も出ないですから、1周目は場合によってはそれなりに手も足も出ない問題があるかもしれません。


解説にはそこそこ言葉による説明と共に図もあるので、一つの悪い部分だけで悪い参考書と決めつけてはいけません。


2周目以降はその問題の簡潔さが逆によくて周回するにはかなり使いやすい参考書です。


2周目以降もだらだらと問題文を読むのはしんどいですからね。


早慶あたりを目指している生徒を指導する場合には、セミナーと名問を何周かして、後は過去問というパターンも割と多いです。


時間的に余裕のある子だと、セミナー、名問、重問、過去問で早慶に挑む子もそれなりにいました。


名問のレベルがテクニックとして身についていれば過去問慣れ、というか正確には長い問題文慣れさえしておけば、早慶まではそこそこクリアできます。


重問と比べると1問ごとにどこを強調しているのかわかりやすい問題集だとは思うので、テクニックは学びやすいです。


解答が別冊になっていないところを嫌う受験生ももしかしたらいるかもしれません。


それ以外にはレイアウトも見やすい参考書です。


今の版だと、1冊目が73問、2冊目が67問です。それぞれその中に小問がいくつもあります。

実戦物理重要問題集ー物理基礎・物理

続いては重要問題集ですね。通称「重問」です。


重問は名問とは違って、問題文が結構長いです。大学の過去問を編集している問題集なので当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。


ですから、重問をやると長い文章を読んで問題設定を読み取るのには慣れます


名問と難易度的には変わらないかなと思います。


解説は数研出版っぽい感じで、正直どこを強調しているのか受験生にはわかりにくいかもしれませんが、その分、変な癖はないですね。


名問のところでも書きましたが、早慶レベルくらいだとセミナー、重問、過去問、というパターンもそこそこ多いです。


時間に余裕があれば名問もやる感じですかね。


名問との違いはテクニックは身につきにくいかもしれないけど、長文の問題設定を読み取るのには慣れやすいというところです。


時間的に名問と重問のどちらかしか選べないという時には、テクニックを選ぶか、問題の読み取りを選ぶかという基準で選択するようにしています


毎年マイナーチェンジの改定がなされるので、わたくしが受験生だっところとはだいぶ問題が差し変わっています。


今の版で言うと、全部で154問。その中に小問がいくつもあります。


別冊解答付きで、分冊ではなく1冊のスタイルです。


最新の傾向に置いていかれることはまずないという所も評価できる所のひとつです。(↓リンク切れたら教えてください。毎年改定されるもののレビューは放っておくとリンク先が古いものになってしまうのが少し大変です。)


物理[物理基礎・物理] 標準問題精講

次は標準問題精講です。通称「標問」。


標問ははっきり言って難しいですね。


わたしが指導するときには、東大、京大、東工大、同レベルの医学部、が志望校の子にしか使わせないです。


逆にいうと、そのレベルの子たちが標問まで取り組むとそれなりに物理が得点源になるので、物理は安心して受験できますね。


この難易度だと他には「難問題の系統とその解き方」というのがあるんですけど、あれを解いている暇があるなら他の科目の勉強をするか、大学レベルの勉強を始めた方がいいかなと個人的には思います。


ですから、難しい問題集なんだけど、多すぎない、というところがわたくしの中で一番評価が高い部分です。


解説もかなり丁寧ですし、何を強調したい問題なのかもわかりやすいので、そこも含めてかなりおすすめです。


ただ、シリーズ的には基礎問の次に来るわけですけど、正直その二つの間にはなかなか大きい壁があるということは注意した方がいいです。


今の版で90問あります。解答はぺりぺりとっと剥がして別冊の形にすることができるようになっています。


番外編

いくつかほとんど使用したことないものも挙げておきます。自分の執筆している参考書の参考資料として用いていますので、一通り見終わったら、今後レビューに追加するかもしれません。

難問題の系統とその解き方

標問のところでも一度出ましたが、昔は難しい問題集といえば「難系」でした。


まあでも受験生がこれをやる余裕があるのかどうかっていう問題はあります。


慣れればそこまで難しくないと感じるんですけど、それでも量はありますからね。


最近、改定されて表紙がポップになり、2冊の分冊になったのは知っているのですが、中身はどうなのでしょう?もしご存知の方いらっしゃったらコメントください。


体系物理

こちらはなかなか古い問題集でして、はしがきにもある通り「原理導出問題」が多いです。


原理導出問題というとどういうものかイメージしにくいかもしれませんが、公式の導出系の問題が多いと思っていただけるといいですかね。


こういった問題が実際、物理の勉強で一番大事な部分であることは間違いないです。


ただ、受験生にはそれほどおすすめはしませんね。こういう問題を出題する大学は最近かなり減ってきています


悲しいことなんですけど、過去問解いていりゃ出来る問題は入試作る側としては出せないわけでして、


そうするとこの参考書に載っているような一番基本的な問題というのは「ネタバレ商品」的に扱わざるを得ないんですよね。


受験勉強慣れしている学生にとってはただの簡単な問題集に見えてしまうかもしれません。


大人の学び直しにはかなり良い問題集とわたくしは思っていまして、実際に参考書の執筆のための参考文献として初めに新版を購入した問題集でもあります。

物理の良問問題集[物理基礎・物理]

こちらは割と最近台頭してきた問題集でして、正直わたくしが追いつけていないトレンドのひとつです。


標問を書いていらっしゃる方が著者ですので、基礎問と標問の間にこれをやるというのはいい使い方なのかもしれないなと思いつつもこれから吟味してレビューしたいものランク1位の問題集です。


ちらっとしか使わせたことないので、これから吟味します。


資料集・読み物

資料集と書きましたが、正直資料集は物理の指導に用いたことはありませんので、読み物の参考書をメインに紹介していきます。


ちなみに資料集を使うよりはYouTubeなどで、無料の実験動画を見る方がおすすめです。

物理のエッセンス

まずは物理の参考書のもはや定番の物理のエッセンスです。通称「エッセンス」。


わたくしはこの参考書を講義系でもなく問題集でもなく読み物と考えています。


講義系の参考書はメインとしてはゼロから1にするのに使いますが、エッセンスで物理の知識ゼロの人が1に持っていくのはしんどいですね。


そして、問題集として用いるには問題が少なすぎます。


「公式の使い方まとめ」的な意味合いを感じつつ読み進めるのに丁度いいと思います。


わたくしの指導のときの使い方は、セミナーなどの教科書対応の問題集を解かせつつ、平行でエッセンスも読ませるというスタイルです。


セミナーなんかの問題集はどこを強調しているのか分かりにくいので、解いてもできるようになった気がしない生徒がそれなりにいます。


エッセンスはその感覚を補助するために使うのがベストかなと。


どの公式をどのタイミングで使うのかはエッセンスを読んでいると割とわかってくるようになります。


ですから、わたくしは「公式の使い方まとめ」と表現することが多いです。


新・物理入門 (駿台受験シリーズ)

こちらはもっと難易度の高い読み物でして、受験レベル10を11にしたり、10を12にするような読み物です。(10をマックスとして考えてください。)


要するに高校物理の範囲は普通に超えちゃっているんですね。


ですけど、大学で習う物理の導入としては素晴らしいですし、難しい問題を解いているような子が「本当に最も基本的な部分」で疑問を持ったときには解決を手伝ってくれることが多いです。


現役の受験生が通読する暇はないかもしれませんけど、入試後の3月に読むのには丁度いいですし、


東大、京大、東工大、そのレベルの医学部を目指す浪人生なら通読してもいいかなと思います。


ただこれを読んだだけではテストの点数は上がらないですけどね。


その辺がエッセンスと同じ読み物の範疇ですけど、違う部分です。


著者は大学レベルの参考書も多く出版されていらっしゃる方で、時代が違えば、一流の物理の研究者になっていたかもしれない駿台のカリスマです。


一応対応した問題集もありますけど、こちらはあまり詳しくは知らないです。


楽天の扱いがないので、Amazonのリンクだけ貼っておきます。)

鉄緑会物理攻略のヒント よくある質問と間違い例(7/13追記)

この参考書も読み物としては非常にいい本ですね。


これだけ、読んだところで点数が上がるわけではないですけど、


受験生の間違いやすい所をとにかく一通りまとめ切っているなと感じる参考書でした。


浪人生なんかで時間のある方は丸っと一冊読んでみてもいいと思います。


時間のない方はこれを読んで受験に必要な演習量が減るのは少しもったいないので、


苦手な分野だけ読んでみるという形でも使えますね。


まとめ

これ以外にも良いものはあるのですが、多少なりとも使ったもの使わせたものに限定してレビューを書きました。


参考になれば幸いです。


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それではまた、所長でした!


無料で物理の勉強がしたい方はこちらから。
otonaphys.com


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